今の人間の仕事の約50%がロボットやAIに奪われる。
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国家資格の代表格「士業」に冬の時代が到来!
2015年にオックスフォード大学(マイケル A. オズボーン准教授およびカール・ベネ ディクト・フレイ博士)と野村総合研究所が共同で研究した結果を発表しました。
研究テーマは「AI(人工知能)やロボットにより代替される確率の高い職業」で、日本国内の601種類の職業について、AIやロボットに代替される確率を試算したものです。
この研究結果は、当時多くの人に衝撃を与えました。特に、一般的に難易度が高く価値も高い資格と考えられていたいわゆる難関資格を保有している人たちに衝撃を与えました。
この研究結果によると、日本の労働人口の49%が、10〜20年後にAIやロボットに代替される可能性が高いとなっています。
参考論文:日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に~601 種の職業ごとに、コンピューター技術による代替確率を試算~
要するに、日本人の労働者の2人に1人がAIやロボットに仕事を奪われるということです。
この研究結果では、人工知能やロボット等による代替可能性が高い100 種の職業が挙げられています。
例えば、一般事務員、受付係、給食調理人、銀行窓口係、ホテル客室係、スーパー店員などです。
これらの職業は既に一部が自動化されています。
店舗の受付にソフトバンクの販売しているペッパーくんが置かれていて、簡単な接客業務をしていたり無人のレジなども徐々に普及し始めています。
その中で最もAIやロボットに代替される可能性の高い職業は、電車の運転手で、99.8%の確率で自動運転に代替されると予想されています。
同様に、路線バスの運転手やタクシーの運転手も高い確率で自動運転に代替される職業として挙げられています。
今までは物流の中心を担っていた長距離トラックの運転手なども自動運転にとって変わられるでしょう。
既に電車では、ゆりかもめのように自動運転が普及し始めています。
空港内のモノレールやディズニーリゾートラインなども無人運転で安全に動いていますよね。
自動車についても、自動運転技術が日に日に進化しており、完全自動運転の時代もそう遠くない未来に実現することは間違いありません。
中国やアメリカなどでは、既に自動運転カーが街中を走行しています。
グーグル、百度、テンセントなどのIT企業が自動運転技術を武器に自動車業界に乗り込んでこようとしています。
日本は遅れているので、まだまだ気付いていな人が多いですが、技術的には、完全自動運転カーはほとんど出来上がっており、あとは法整備をするだけという段階まで進んでいます。
街中を無人タクシーやシェアカーが走り回っているという時代はすぐ目の前まで来ています。
難関の国家資格も危ない!
こうした職業と並んで、代替可能性が90%以上と予想されている職業の中に3つの難関国家資格が含まれています。
国家資格の中には、業務独占資格と言って、ある仕事をするためには必ず資格が必要である事が法律で定められているものがあります。
医師資格を有しないものが医療行為を行ったり、弁護士資格を有しない者が弁護士業務を行ったりすると刑罰で罰せられます。
難関の国家資格の多くは、この独占業務が定められており、それが、資格を取得することのうまみになっていました。
役所などに提出する高度に専門性が必要な書類作成業務などを業務内容としているために、普通の人はなかなか自分でするのが難しく、仕方なく士業の先生に依頼するというのが飯の種になっていたのですが、それがAIやインターネットの発達によって崩れようとしています。
先ほどの研究結果では、行政書士が93.1%、税理士が92.5%、弁理士が92.1%という非常に高い代替確率となっています。
行政書士によって構成されている日本行政書士会も高い危機感を持っており、会員に配布されている内部機関紙である月刊日本行政の2018年4月号で「AI の普及と行政書士の未来」という特集を組んでいます。
参考資料:月刊日本行政2018年4月号
税理士についても、税理士・公認会計士という職業が無くなる可能性が高いという記事で書いたように、既に税理士という職業が消滅している国も現実に出てきています。
最難関国家資格の1つである公認会計士も、85.9%、社会保険労務士は79.7%、司法書士は78.0%と、これらも非常に高い代替確率になっています。
行政書士、税理士、弁理士、海事代理士、社労士、司法書士、土地家屋調査士、弁護士の8個を俗に8士業というのですが、8つのうち7つで、AIに仕事が奪われる可能性が高いという予想が出ているのです。
ちなみに、唯一AIやロボットによる代替可能性が極めて低いと判断されたのが弁護士で代替確率は1.4%です。
なお、8士業には入っていないのですが、士業の中でもう一つ代替可能性が低いと判断されているのが、中小企業診断士で代替確率は0.2%です。
税理士、公認会計士には冬の時代が到来する。
税理士の主な業務は税務書類の作成や税務相談で、多くの中小企業が顧問契約などを締結して、税理士にそれらを依頼しています。
しかし、最近では、帳簿付けがコンピュータソフトで行われており、簿記3級程度の知識があれば、誰でも簡単に税務書類を作成できるようになっています。
また、AI(人工知能)とクラウドの技術を活用して、領収書などをカメラで読み込むことで自動的に帳簿の入力ができるサービスなども発達してきています。
これらの技術やサービスを提供するフィンテック企業も続々と誕生しています。
最近では、マネーフォワードが上場(2017年9月29日)したのが記憶に新しいところです。
税務書類の作成や申告に関しても、e-Taxというウェブで申告できるシステムが普及してきています。
e-Taxはソフトを国税庁のホームページからダウンロードする事もできるので、中小企業の規模であれば簿記2級か3級くらいのスキルを持っている人材がいれば、税理士に依頼しなくても申告が行えるようになっています。
今、多くの中小企業が高い顧問料を毎月支払って、税理士と顧問契約を締結しているのは、税務書類の作成が複雑だったりして、自分でやるのが面倒だからです。
その面倒な部分をAIが代替してくれれば、確実に税理士は不要になります。
少しでもコストを抑えたい中小企業にとっては、税理士に支払う金額は決して小さいものはないので、AIが発達すれば、多くの中小企業が税理士との顧問契約を考え直すことになるでしょう。
技術の発達や時代の流れから考えると、これから10年から20年の間に税理士にとっては厳しい時代が訪れるでしょう。
数字や計算を得意とするコンピュータにとっては、税理士の行っている業務は、最も得意とする分野なのです。
同じ理由で公認会計士も今後は危ないでしょう。
公認会計士は、会計資格の最上位に位置付けられる資格で、難易度が高く合格するまでには、短期合格者でも最低でも2年間の学習が必要とされています。
これだけの時間、労力、金をかけたのに、10〜20年後には仕事が無くなるというのでは、ちょっと悲しいところです。
行政書士、司法書士、社労士、弁理士も仕事が無くなる。
同じようにAIが発達することで、書類の作成をコンピュータが自動的に行ってくれるようになるので、書類の代理作成を主な業務とする行政書士、司法書士、社労士、弁理士も仕事を奪われる可能性が高いです。
ある程度のテンプレートをコンピュータが自動的に作成したり、自分で作った書類を訂正してくれるというソフトがいずれは登場するでしょう。
その紙の書類もペーパーレス化され、全てデジタル化されたものになり、インターネットを通じて提出するという制度になるのは容易に想像できます。
そうなってくると、よほど複雑なものでない限り、わざわざ行政書士や司法書士などの先生に頼む必要性がありません。
これらの士業も今後は大幅に仕事の量が減っていく事は間違いありません。
AI時代でも弁護士と中小企業診断士が強い理由
先ほど紹介した代替確率の高い7つの士業に共通しているのは、業務のメインが書類の作成だという事です。
他方で、弁護士と中小企業診断士は、業務の中心が人と接する事です。
もちろん、書類の調査や作成も仕事内容に含まれますので、その部分はAIに代替される可能性はあります。
既にアメリカや中国では膨大な量の判例から必要な情報を抜き出すというようなAIソフトが開発され、実際に使われ始めています。
しかし、業務の多くの部分を占める人と直接に接する部分の仕事はAIやロボットに代替されることはありません。
弁護士がわかりやすいのですが、法廷にロボットが立って、ロボットが判決を下すなんてことは考えられませんよね。
AIが人間の能力を超える時代が来たとしても、法律によって規制され、法廷にロボットが立つということはないでしょう。
AIやロボットが進化する時代においては、人間臭さが力を発揮します。
人間と人間が直接接するような仕事が代替されにくい職業となります。
例えば、精神科医、カウンセラー、飲み屋のホステスなどですね。
士業が生き残るヒントはコンサルタント化
前述のように、行政書士、司法書士、弁理士、社労士、土地家屋調査士、海事代理士の主な業務は書類の作成です。
役所に提出する書類には厳格な決まりがあり、少しでも不備があると受理してもらえません。
そこで、素人の代わりに専門家として独占的に業務を行っていたのがこれらの士業なのです。
しかし、書類の不備をAIが判断してくれ、提出もインターネットを通じて行えるようになると、士業は無用の存在となります。
遅くとも20年後には確実にAIの時代になっています。
その時には人生100年時代になっており、定年退職の無い自由業の士業の人たちは70歳以上でも働いている人が多いでしょう。
今の自分の年齢が考えたときに、20年後まだ労働している年齢であるならば、今からAI時代に備えておく必要があります。
士業がどうやって生き残っていくのかのヒントは代替可能性が低いとされている弁護士と中小企業診断士にあります。
彼らの業務を一言で言うと、人と人が直接接することに意味があるコンサルタント(カウンセラー)です。
つまり、行政書士、司法書士、税理士、公認会計士、社労士、弁理士、土地家屋調査士、海事代理士も書類の作成はAIに任せて、自分は人間にしかできないコンサルタント(カウンセラー)としての仕事に集中すべきでしょう。
これからは、人間味の溢れた人間臭い人間が生き残れます。
仕事の絶対量が急激に減少していくので、弁護士、中小企業診断士を除く士業にとっては冬の時代が到来することは間違いありません。
今から、その準備をしておかないと若い人たちは厳しい老後になる可能性が高いです。
今のうちに大きく方向転換して、全く別の業種に行くというのも賢い選択かもしれません。
これから勉強を始めようと考えている人は、今の資格スクールの甘い言葉に簡単に流されるのではなく、大きな視点で時代の流れを読んで、本当にその道に行くのがいいのかどうか一度考えてみることをおすすめします。
自分が取ろうとしている資格が、10年後、20年後、そして一生やっていける仕事・資格なのかを今一度考えてみましょう。
実際に、司法試験、司法書士、行政書士などの難関資格と言われている試験は軒並み受験者数が減少傾向にあります。
他方で、IPAが実施している情報処理系の国家資格は受験者数が増加傾向にあります。
資格の受験者数のトレンドを見ると、時代の大きな流れが分かります。
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