IT技術の爆発的進化を直視せよ
この記事は、文字実が執筆しました。
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10年後に今ある職業の半分が消滅する!
今、弁護士や公認会計士の仕事がどんどんコンピュータにとって変わられていて、人間の仕事がどんどん無くなっているという現実をご存知でしょうか?
最近のコンピュータ技術が進化するスピードは著しく加速しており、あらゆる業界に恐ろしいほどの変革をもたらそうとしています。
2014年くらいにオックスフォード大学が今後10年から20年で現在この世に存在する職業の約半分くらいがコンピュータに取って代わられて消滅してしまうという衝撃的な発表を行いました。
具体的にどのような職業が無くなるのかというのが例示されていましたが、今回は特に税理士と公認会計士という資格・職業を取り上げて、これらの職業・仕事が近い将来(10年以内くらい)にほぼ消滅する可能性が高いということを書きたいと思います。
実は、税理士と会計士という2つの職業については、未来の話ではなく、今現在の段階ですでに消滅してしまった国が実在します。
今回の記事はこれから税理士や会計士の資格取得を目指して、会計や税務の仕事に就こうと考えている人は必読です。
また、それ以外の人もIT技術が今の段階でどれくらいのレベルまできているのか、またどれくらいのスピードで進化しているのか、それによって私たち人間のどんな仕事や職業が消滅していくのかを想像していただくことができるのではないかと思います。
エストニアという国では税理士と会計士が消滅した
北ヨーロッパにエストニア共和国という人口134万人の小さな国があります。
今この小さな国が世界から大きな注目を浴びています。
その理由はエストニアが導入しているeガバメント(電子政府)システムが世界で最も進んでいると目されているからです。
エストニアでは1990年代の半ばから行政の効率的な運営を目指して、国民にメールアドレスやID番号が割り当てられました。
そのID番号が銀行口座などの情報と連携しており、X-Roadと呼ばれているデータベースにあらゆる情報が集められています。
税務申告時にはこのX-Roadを使って課税処理が自動的に行われるために税理士・会計士の行う業務がコンピュータに取って代わられ人間がやる必要性が無くなり職業や仕事が消滅してしまったのです。
他にも選挙の際の投票や会社の設立手続きなど、あらゆるものが電子化されてペーパーレス化が徹底されており、付加価値が高い仕事に集中できるようになっています。
その結果として1人あたりGDPはバルト3国の中でトップであり財政状態も大変優れています。
これはIT技術の進化で実現が可能になったフィンテックと呼ばれるものの影響の1つです。
このように税理士・会計士に関しては未来の話ではなく、実際に消滅してしまった国が現時点においてすでに存在するのです。
この潮流は加速しており、今後さらに技術が発展して税理士や会計士の業務の大部分をコンピュータが行うようになることは間違いありません。
日本においても、公認会計士・税理士ともに受験者数がこの5年くらいで右肩下がりに激減しているという現実があります。
税理士 | 公認会計士 | |
---|---|---|
2010年 | 62,996人 | 25,648人 |
2011年 | 59,975人 | 23,151人 |
2012年 | 58,453人 | 17,894人 |
2013年 | 55,332人 | 13,244人 |
2014年 | 49,876人 | 10,870人 |
2015年 | 47,145人 | 10,180人 |
理由はいくつかあると思うのですが、最も大きな理由は仕事の減少、求人数の減少、給与・待遇・労働環境の悪化ということでしょう。
それでもIT技術にあまり詳しくない人からすると「そんなバカなことは無い!」とか「そうなるのはまだまだ先の話だから自分には関係無い。」と思われる人もいるでしょう。
これらの話に疑いを持っている人でも、背景になっているIT技術の2次関数的な進化を理解していただければ納得できると思います。
これから背景になっているテクノロジーの爆発的進化について簡単に説明します。SF映画のような話と思われる人もいるかもしれませんが、すべて現実に起きている事実です。
シンギュラリティー(技術的特異点)が訪れる
皆さんはシンギュラリティーという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
日本語では技術的特異点と呼ばれるのですが簡単に言うと、人工知能(AI)が人間の能力を超える事です。
人工知能の能力が人間の能力を超える事で人類が今までに経験した事の無い変化が起こります。
そのシンギュラリティーが遠い将来ではなく、近い将来に訪れると言われています。
多くの科学者や研究者は、機能的には2018年頃に人間の能力を超え、あらゆる面で人間の能力を超える本当のシンギュラリティーは2045年前後に訪れると予想しています。
つい最近もグーグルの人工知能であるAlphaGo(アルファ碁)が囲碁の世界チャンピオンである韓国のイ・セドルを完全に打ち負かした事がニュースになりました(2016年3月)。
チェスや将棋は既に人間はコンピュータに勝てなくなっていたのですが、囲碁は打ち手の数が圧倒的に多くコンピュータでも全ての打ち手を計算し切れないために人間の方が強かったのです。
しかし、グーグルのAlphaGoはディープラーニングという技術を用いる事によって、自ら学習して強くなり未知の指手にも対応できるようになりました。
その結果、今まで人間の方が強かった囲碁ですらコンピュータの方が強くなってしまったのです。
また、国内でもNTTが人工知能を使って新しい映像圧縮技術を開発しており、人工知能によって映像圧縮のための新しい数式を生成しました。
その数式があまりにも複雑でどんな天才的な数学者や科学者でも、人間にはもはや到底理解できないようなものでした。
既に人工知能は私たち人間が理解できないような複雑で優れた数式を作り出す能力を有しているという事なのです。
人工知能研究の世界的権威であるレイ・カーツワイルによると収穫加速の法則というものによって技術革新のスピードは年々増しており、2045年頃にはシンギュラリティが訪れると予測しています。
ただ実際には日本のスーパーコンピュータの京がレイ・カーツワイルの予測を上回るスピードで人間の能力を超えているため、実際にはもっと早い段階でシンギュラリティが訪れそうな兆候が数多くあります。
人工知能が人間の能力を超えるシンギュラリティが訪れた時には、今まで人間しかできないとされていたあらゆる仕事がコンピュータに取って代わられ人類に取って大きな変化が訪れます。
ただそれ以前の段階でもPEZY Computing創業者の齊藤元章さんは、今から約10年後の2029年頃からをプレ・シンギュラリティと呼び、多くの職業がコンピュータによって行われ消滅すると予測しています。
人類史上最大の革命である情報革命が起こる
人類が誕生してから現在にいたるまでに、私たちは2つの大きな革命によってライフスタイルが根本的に変わりました。
1つは紀元前1万年前くらいに起きた農業革命。もう1つが18世紀に起きた産業革命です。
そして、今はそれら2つの革命を遥かに超える大きなインパクトを持つ情報革命の真っ只中です。
おそらく今後10年くらいの間にあらゆる業界で今までに経験した事のないような大きな変化が訪れ、私たちに大きな影響が生じるでしょう。
税理士・会計士だけでなく、弁護士という職業ですらも消滅してしまう日が遠くない未来に来るでしょう。
ただし、これらの職業や仕事も全てが無くなってしまうわけではなく、コンピュータにはできない人間らしい何らかの付加価値を提供する事で生業としてやっていく事はできると思います。
私は決して全ての資格や職業が無意味になるとは思いません。この記事を読んで今から10年後のことも考えて、役に立つ資格は何か?食べていける仕事は何か?コンピュータにはできないどんな付加価値を提供する事ができるのか?などを一度考えてみるきっかけにしていただければ嬉しいです。
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