はり師試験について
この記事は、文字実が執筆しました。
はり師とは、いわゆる治療に関する能力を有するかどうかを試すための資格試験で、国家資格とされています。
はりは、金・銀・鉄などの金属針で人体患部に刺激を与える治療法。副作用がなく、神経痛や関節炎などの痛みも緩和できるなど、東洋医学のすぐれた経験則を現代医療に生かすことが期待されています。
厚生労働大臣の免許を受ければ開業でき、安定した収入が見込まれる堅実な資格です。
柔道整復師の資格と合わせて取得すると、より有利になることが多く、両方持っている方もたくさんおられます。
はり師試験の概要
受験資格
以下のような受験制限があります。
大学入学資格をもち、文部科学大臣の認定した学校または厚生労働大臣が認定した養成施設(修業年数3年以上)で、はり師となるのに必要な知識および技能を修得した者。
※著しい視覚障害のある者においては、高等学校入学資格をもち、学校または養成施設で5年以上必要な知識および技能を修得すれば、試験を受けることができる。
試験内容
筆記試験がによって実施されます。
試験科目
1、医療概論(医学史を除く)
2、衛生学・公衆衛生学
3、関係法規
4、解剖学
5、生理学
6、病理学概論
7、臨床医学総論
8、臨床医学各論
9、リハビリテーション医学
10、東洋医学概論
11、経路経穴概論
12、はり理論
13、東洋医学臨床論
ただし、視覚障害者は次の方法による受験を認める。
1、拡大文字、超拡大文字または点字による受験を認める。
2、1の方法と試験問題を録音したテープの使用または試験問題も読み上げの併用による受験(文部科学大臣が認定した学校の長または厚生労働大臣が認定した養成施設の長が必要やむを得ないと認めた者に限る)。
3、照明器具、読書補助具、点字タイプライター等の使用による受験
※同時にきゅう師試験を受ける者に対しては、はり理論またはきゅう理論以外の共通科目について、その一方の試験を免除する。
申込み期間
例年、以下の期日に受付されています。
12月中旬〜1月上旬。
試験日
例年以下の期日に実施されています。
2月下旬。
受験料
15,100円
参照:厚生労働省資格試験案内
はり師試験についてのコメント
はり師試験について詳しい人や何か知っている人からのコメント(体験談等)を募集しています。
はり師試験に興味がある人に役立ちますので、知っていることがあれば何でも大丈夫ですので、ぜひコメントをお願い致します。
1件
HN(ハンドルネーム):ぴこ太 | 2023-05-08 15:08:47
私が第二の人生を考えて資格の取得を目指したのは29歳の時でした。初めは看護師の資格にするか、鍼灸師の資格にするか迷っていました。でもまずは学業から離れて久しかったのでいずれの資格に決めても必要な学校の入学試験に備えて看護予備校に入りました。そこでは国語・生物・数学・化学・小論文などの科目を勉強しました。
予備校で勉強しながら併行して、鍼灸についても詳しく調べました。というのも、東洋医学には昔から興味を抱いていたものの、資格を取得するまでや取得してからのイメージが看護師ほど明確には描けなかったからです。
はり師・きゅう師も国家資格で、専門学校で3年間(鍼灸大学であれば4年間)修業した後に国家試験を受けて合格した者に与えられます。看護師よりも平均的に授業料は高めで、入学金と授業料を合わせて450万くらいはかかったと思います。もともと夜間部が多かったので、今でも高卒者よりも社会人経験者や現役者が昼間働きながら通学しているというケースが珍しくありません。
最終的に私は看護師ではなく、鍼灸師になることを選びました。就職率から考えると絶対的に看護師の方が有利でしたが、今後自分が一生やり続ける仕事は興味のあるものでなくてはならないという考えで決断しました。
無事に希望した学校に入学し、昼間アルバイトをやりながら夜間部の生徒となりました。学校では3年間の間に東洋医学だけでなく、西洋医学についても生理・病理・各論・総論・衛生学・リハビリなど看護師と同等レベルを学びました。すでに柔道整復士・薬剤師・理学療法士などの有資格者も一緒で、医学知識の無かった私は最初から相当遅れを取っているという認識で必死に勉強しました。
もちろん学校では実技の授業もあります。また鍼灸というのは色々な流派や会があって各地で勉強会も開かれているため、学校以外でも学生の参加が認められているものには早くから積極的に参加しました。
それから同級生同士や先輩との勉強会や実技練習も頻繁に行い、毎日勉強の日々でした。
学校内で行われる卒業試験(マークシート・実技・口頭試問)に合格して初めて卒業が認められ、卒業が確定して初めて国家試験受験資格が得られます。そのため、学内の試験対策勉強と国家試験対策勉強が必要でした。これらは重複する部分もありますが、学内の試験は担当教諭が出題するということで傾向が多少違いました。国家試験対策では一般に出回っている過去問題集はもちろんのこと、過去の出題傾向から考えられる四択問題(国家試験は四択のマークシート方式)を自分達で作成して仲間同士で問題を解きながら力をつけて行きました。
無事に試験に合格し、鍼灸師となりましたが、予想通り就職先は簡単に見つかりませんでした。初めはマッサージがメインの施術所で働きながら、ごくたまに鍼をさせてもらうという状況でした。しかし、勉強会でできた業界への繋がりで、有名な鍼灸師の先生の下で働けるチャンスが巡ってきて鍼灸院での勤務という希望が叶いました。やはり自分が学びたかった世界なので面白いことが沢山あり、資格を取ったことに間違いは無かったと思いました。
数年の修行を経て、自宅で小さな治療院を開業することが出来ました。出張治療もしていて、自分のペースで長年働けることが私にとっては一番良いことでした。
どの資格を取るか迷っていた時は、「資格を取って働く頃には幾つになっているんだろう」などと考えていました。しかし、実際その道に向かってスタートしてしまうと、3年間の学校生活もその後の修行や勉強もあっという間で今に至ったように感じます。
迷うことがあったら、自分がこだわりのある方、もしくは大変だと思われる方を敢えて選んで先に挑戦してみることを勧めます。私は若い頃学校でほとんど勉強という勉強をしないで過ごしてしまったのですが、30を過ぎてからでも本気で勉強しようと心に決めて実際にやり通す事ができました。勉強の意味と目的を理解していたからだと思います。
今は良い時代で、多くの情報がネットから手に入ります。どのような資格であっても、先にその道を歩んだ方たちの多くのサポートが得られますから安心して一歩踏み出してみて欲しいと思います。