似ているようで実は違う幼稚園と保育園
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保育士と幼稚園の先生の違いって何なの?
保育園の先生や幼稚園の先生はともに子供の健康な体と健全な心を育て「先生」と呼ばれる点では同じですが、いったい何が違うのでしょうか?
ともに子供が大好きで子どもと関わる仕事がしたいという人にとっての憧れの職業で似ていることも多いのですが、実は結構違う点もあります。
今回は保育園と幼稚園の違い、そこで働く先生である保育士と幼稚園教諭の共通点と相違点を分かりやすく解説します。
保育園の先生は正式には保育士と呼ばれており、幼稚園の先生は正式には幼稚園教諭と呼ばれていますのでこれからいろんな言い方をするかもしれませんが、意味はどれも同じですのであまり気にしないでくださいね。
まず幼稚園と保育園の最大の違いは設置の根拠となる法律、所轄官庁が異なることです。
保育園は児童福祉法に基づいて設置される「児童福祉施設」で所轄官庁は厚生労働省です。保育園は児童福祉法によると正式には保育所(児童福祉法39条1項)と呼びます。
次に幼稚園は学校教育法に基づいて設置される「学校」の一種で、所轄官庁は文部科学省です。
このように設置の根拠となる法律と所轄官庁が異なることが最大の違いで、そもそもの目的が大きく異なります。
児童福祉法39条1項に保育所の目的が書いてあります。
39条1項:保育所は、保育を必要とする乳児・幼児を日々保護者の下から通わせて保育を行うことを目的とする施設(利用定員が二十人以上であるものに限り、幼保連携型認定こども園を除く。)とする。
法律の建前では、保育園の目的は「保育」であり「教育」ではないのですね。保育というのは広辞苑で調べてみるると「乳幼児を保護し育てること」と書いてあります。
要するに保育園というのは保護者が共働きの場合や出産の前後などで乳幼児を自分で保育できない場合に、代わりに保育園で面倒を見てもらう場所ということです。
他方で幼稚園の目的は学校教育法22条に書いてあります。
22条:幼稚園は、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする。
幼稚園は保育をする目的だけではなく、義務教育の基礎を培うための教育をすることも目的になっています。
どのような教育をするべきかは23条の各号に書かれているのですが、「自主、自律及び協同の精神並びに規範意識の芽生えを養う」や「豊かな感性と表現力の芽生えを養う」などかなりレベルの高いことを教育する建前になっています。
まとめると少し乱暴な言い方になるかもしれませんが、法律の建前としては保育園はただ子どもを預かってもらう場所で、幼稚園は子どもを教育する場所ということになっているのです。
どうでしょう?子どもを預かってもらう場所と言う点で同じように見える幼稚園と保育所って実はけっこう根本的に違いますよね。
この根本的な違いから派生して異なる点が他にもいろいろとありますので、それを説明していきます。
対象年齢、時間、日数が全く違う
設置の根拠となる法律や所轄官庁が異なるという根本的な差異から派生する違いとして以下の点があります。
- 対象年齢
- 1日の時間
- 1年間の日数
- 給食の有無
- 先生は誰か?
- 先生に必要な資格
- 職員と子どもの割合(配置基準)
まず対象年齢が違います。保育園は保護者が共働きなどの理由で自分で十分な保育ができない状態なので、0歳の乳児の段階から預けることができます。
他方で幼稚園は保護者である両親が保育できない状態ではないので、教育が始められるであろう満3歳からしか利用できません。
1日に預かってもらえる時間も保育園の場合は原則として8時間となっており、ケース・バイ・ケースで早朝、夜間の延長保育も行っており、かなり長時間子どもを預けることができます。
また1年間の保育日数も特別な規定はなく夏休みや冬休みなどの長期の休みがなく利用することができます。
仕事で親が面倒を見ることができないわけですから、その間ずーっと代わりに面倒を見てもらう必要があるからですね。
対して幼稚園は1日の教育時間は原則として4時間と短くなっています。また、1年間の教育日数も小学校や中学校の義務教育と同じように夏休み、冬休みなどの長期休暇がありますので、保育園に比べて少ないです。
少し複雑になってきたので、保育所と幼稚園の違いを表にまとめてみます。
保育所 | 幼稚園 | |
---|---|---|
法的根拠 | 児童福祉法 | 学校教育法 |
所轄官庁 | 厚生労働省 | 文部科学省 |
対象年齢 | 0歳から18歳未満 | 満3歳から小学校就学まで |
時間/日 | 原則8時間(延長保育有り) | 原則4時間 |
日数/年 | 特に規定無し。夏休みなどの長期休暇無し。 | 39週を下回らない日数。夏休みなどの長期休暇有り。 |
給食 | 義務 | 任意 |
先生は誰? | 保育士 | 幼稚園教諭 |
先生になる資格 | 保育士資格 | 幼稚園教諭免許状 |
職員と子どもの割合(配置基準) | 保育士1人につき、
|
1学級の幼児数は35人以下が原則となっており、1学級あたり専任教諭1人。
|
こうやってまとめてみると幼稚園と保育園の違いがわかりやすいですよね。では保育園の先生と幼稚園の先生になるためにはどうすればいいのでしょうか?また、それぞれどのような人が向いているのでしょうか?
それをこれから説明します。
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保育園の先生と幼稚園の先生。どちらを選べばいいのか?
保育園の先生になるためには保育士の資格が必要であり、幼稚園の先生になるためには幼稚園教諭の資格が必要です。
同じような仕事でも必要になる資格は全く違うので注意が必要です。それぞれの資格の取り方は各資格の紹介ページに詳しく書いてありますので、そちらをご覧ください。
ではどのような人が保育園の先生に向いていて、どのような人が幼稚園の先生に向いているのでしょうか?
まず当然ですが、どちらも子どもが大好きと言うことが大前提ですよね。
また、どちらも保護者と話をすることも多いので、人と接するのが好きと言うことも求められるでしょう。
性格的には、明るくて、前向きで、楽天的で、人の気持ちを理解してあげられる愛情や包容力がある人が向いているでしょう。
また、底知れぬエネルギーを持っている子どもと関わるため、圧倒的な体力が必要です。
子どもと一緒にいるだけでも疲れるのに、その後に事務作業などの残業も有りますので、体力に自信がない人には厳しい仕事と言えます。
さらに幼稚園の先生の場合には、教育者(教師)としての資質が求められます。
先生としてふさわしい社会常識、人格を備えていることが必要であり、教育をするために必要な基本的な学力も必要です。
幼稚園の先生は、子どもを預かると言うより学校の先生と同じように人を教育する立場にあることの自覚が必要です。
どちらも大変な仕事ですが、子どもの成長が感じられた時には何物にも代えがたい感動するほどのやりがいを感じることができる素晴らしい仕事です。
自分が子どもを預かって一緒に過ごす保育士の仕事がしたいのか、保育だけでなく教育者として子どもを教え育てる教育の仕事がしたいのか、どちらが向いているのかを考えて進路を選びましょう。
今回は長くなったので、保育士資格と幼稚園教諭の資格を取る方法の解説は次回に説明します。
両方の資格を同時に取る方法や、社会人で働きながら転職のために資格を取る方法なども紹介しますので、今から子供と関わる仕事がしたいと言う人はお楽しみに。
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